天橋立まで極楽ツーリング
朝９時、池田の某所で待ち合わせ。今日はＢＷ’Ｓ１００のＴちゃん、バリオスの
Ｙちゃんと三人で、お気楽日帰りツーリング。取りあえず目的地は「日本海が見える
とこ。まあ、天橋立かな。もし余裕が有ったら鳴き砂で有名な琴引浜まで行けたらい
いね。でも、雨が降ったらすぐに帰ろうね」というフレキシブル且つ無理のない計画。
国道１７３号線を気持ち良く走ってると、３７２号線の交差点で通行止め。今日は
車椅子マラソンというのがあるらしい。迂回の指示に従って、狭くて勾配のきつい道
にはまって難儀する。同行の二人は初心者なので、ミラーから目が離せない。ところ
がこのミラーがまた、振動でよく緩む。いやはや流石はイタリヤン。でもまあ、ベス
パは可愛いから許す。実際、スクーターにとって「可愛い」以上に大切な事なんて一
体何があると言うのか（我ながら凄い独断かも）。
国道９号線に入った途端、急に排気音が大きくなった。ばぶーばぼーばばばっばば
っばーと、それはもう爆音というやつ。あからさまにパワーもがた落ち。「ごめん、
どっか緩んだみたい、ちょっと修理してみるわ」。運良く発見したホームセンターの
駐車場で原因究明に取りかかる。
エンジンのカバーを外して、樹脂製のフードと下側のカバーを外す。やっぱり、シ
リンダーから生えてるエキパイのネジのナットが緩んで無くなってた。それでここか
ら盛大に排気が漏れてたのだね。という事はこれを締めたらええんやけど・・・手前
側は簡単やけど、奥側は見えへんし、無理やでこれ・・・。ホームセンターでナット
を買ってきて、取りあえず手前側のフランジだけ締めて応急修理。お茶休憩しながら
作業を見ていた二人の「すごいー、なおったんー？ やるなあー」に、つい嬉しハズ
カし緩みっぱなしのシャイな３３歳であるよ（詠嘆の表現）。コーヒーごちそーさん。
途中、道を間違えて妙な狭い峠越えをしてしまう。しかしまあそこはそれ、「な、
なかなか面白い道やったやろ？」と、あくまでも「最初からあの道を通ろうと思って
たのだよ」な態度を貫く。そう、初心者の女の人の手前、おぢさんとしてはこういう
細かいところで体面を気にしなくてはならなかったりするのだな、うん。
大江山を越えて国道に出たところで、目の前に日本海が開けた。郊外型大規模小売
店舗（回りくどい言い方。いや、実は店の名前を覚えて無かったもので）の中の食堂
街でお昼御飯。「いやー、やっと日本海が見えたね」「せやけどあんまり演歌の世界
してないなあ、これ」「それより食後はやっぱり、一階の巨峰ソフトクリームやんね
え」「せや、あれはやっぱり食べとくべきやわ、そんな気ぃするわ」「ほな下降りよ
か」「食べよ食べよ」。３３歳のおぢさんも、実は密かに巨峰ソフトが気になってい
たのだった。
天橋立はいつもの通り。しかしいつ見てもここの観光ボートは良い趣味してるね。
「クイーンガンダム号」やなんて、もおセンスとか何とか以前に文句無しの一等賞っ
ちゅー感じ（どんなんや）。
これがうわさのクイーンガンダム号。でもスクリューで走るらしい。
さて、時刻は午後４時。そろそろ帰らないと暗くなってしまう。我々スクーター組
は暗闇に弱いので、そそくさと逃げるように帰りにかかる。大江山をつってけてーっ
と越えて、福知山をつったかたーっと通過、舞鶴道をくぐった辺りで、再び「爆音」
が・・・。
道端の駐車場でまた、店開き。早くしないと日が暮れたら何も見えなくなってしま
う。「今度も３０分くらい掛かるやろ」と踏んだ彼女達は、さっさと自販機でお茶休
憩。ところが、そこはそれ、僕も学習・成長してるのだな。今回は５分も掛からずに
修理完了。ふふふっ、おぢさんのこわさを思い知るが良いわっ。あ、そうそう、また
コーヒー御馳走さんですー。
さて、静かになったベスパで快調に飛ばす。メーターの針は９０を指している。い
や、実は僕のベスパ、どうもメーターがおかしいみたいで、実速よりも多めの値を表
示するのだな。だって８馬力そこそこのＥＴ３で時速１００キロなんて出る訳無いの
に、たまにメーター１００指すし。僕思うにこれ、このメーターの数字はきっと「時
速何キロ」っていう意味ではなくて、単に「７０」とか「１００」とかの独自の単位
なんでは無いかと。例えば「このＥＴ３の全力を１００とすると、今は大体６５、か
な？」っていうような・・・。
路面のうねりでばふんっとリヤが沈んだ瞬間、気が抜けたようにエンジンが止まっ
た。何かイヤーな止まり方。おそるおそるエンジンカバーを開けてみると、が、がー
ん、プラグキャップが折れちょりまー。これはたいへん、やばいのことあるよ。「で
もでっちくん、なんか緊迫感ないねー」 ほっとけ！
嬉しいことに携帯が使えたので、単車屋さんに電話をする。「もしもしー、ベスパ
こわれたー」「えー、どこでー？」「あやべー」「あかんやん、ベスパで遠く行った
らー」「えー、そうなんー？」「とにかくまあ、プラグキャップが折れたんやったら、
キャップ外して、プラグコードに直接プラグの頭のネジねじ込んでみー」「あー、そ
うかー、その手が有ったかー」
本日三回目のトラブルも、単車屋さんのアドバイスで無事にクリヤ。もう半分方暮
れかかった山道の路肩で、何とかベスパ復活。正直な話、こういうトラブルの時に彼
女達が何か直接、力になってくれる訳では無いのだけど、でもやっぱり居ててくれて
とても有り難かった。もしも仮に一人で来てて、こんな時間にこんな寂しい場所でト
ラブったら・・・きっとすっごくかなしいに違いない。大体が僕はマスツーリングっ
て苦手でソロが多いのだけど、今日みたいに３人くらいのツーリングは何かこお、え
えもんやなあとしみじみ思った。
国道１７３号線で、完全に日が暮れた。ねじ込んだコードが外れたらいかんので極
力ギャップを踏まないように気を付けながら静かに走る。しかしまあ、何故かこれが
またエンジンの調子が良い。プラグキャップ無しだと、もしかしたら効率が良いのか
な？ 火花が強くなるとか？？？ で、騙し騙し川西まで帰ったところで本日は解散。
ホントはみんなで御飯食べて帰るつもりだったのだけど、単車屋さんが閉まるまでに
着かないと困ったことになるので、後ろ髪を引かれつつ・・・あ、前髪は引かんとい
てね・・・。
あーほんと、今日は疲れた。ＥＴ３はよお壊れてくれるし。でもまあ、可愛いから
全然おっけーやけどね。プラグキャップは（たぶん）折れないＮＧＫの柔らかいのん
に交換したし。これでもー完璧やね、うん、たぶん、きっと。
ベスパに騙されたおぢさんの夜は更けて・・・